徒然〜忘れられない光景〜
ずっと忘れられない光景って、誰にでもありますよね。
いろんな感情と結びついて鮮明に思い出す、特別なシーン…
私の場合は、悲しくて泣きそうな気持ちと一緒に思い出す光景と、感動で泣きながら何度も見たくなってしまう光景があります。
前者は満員の会場で、無表情で頭を下げる人を見た時。
思い入れのある人が誕生日に、自分たちを愛しているファンに向けて、1人で頭を下げた。
本来は1人で礼をしない…2人でするんですが。
もう1人は許せない、腹立たしい、悲しい、悔しい、嫌だ!が先行して、呼吸を合わせることなく捌けてしまって。
いつもは2人でありがとうのお辞儀をするのに、1人で謝罪の礼をした。
どうしても忘れることが出来ない、悲しい光景でした。
特別な日だった。記念日だった。サプライズを用意してた。
でも、事前に情報が漏れていた。
もう1人はそのことで頭がいっぱいになって、サプライズを仕掛けてお祝いしたかった人に、頭を下げさせてしまった。
誰も得をしない、ただ悲しい。
幸せで笑ってほしかった人が無表情で頭を下げた瞬間は、優しさの詰まった空間が壊れた瞬間の、象徴のようでした。
もう2度と見たくない光景として、今後も忘れない。
心無い人がいたとして、その人に煽られて怒って、激情のままに行動しても、みんなが悲しむ。
優先したいことは何?大切なのは何?どうしたかった?
忘れないことで、思い出すことで、悲しいけど大事なことを優先できる光景です。
もう1つはフィギュアスケートの競技プログラムです。
生で観戦していた訳ではなくて、TVで見ていた光景。
2008年のワールド、男子シングル、フリーの最終滑走。
私の理想が、そこにあった。
現在主流の4回転は跳ばなかった。正確にいうのであれば、クリーンな4回転は跳べない状況だった。
でも、全てのエレメンツが、計算されたように調和していた。
お手本のような技に、音楽に合わせた動きに、何よりも選手が自分に勝つ瞬間だった。
SP終えて1位での最終滑走。
2007年も同じだったけど、自分に負けて転倒を重ねる姿を見てた。
スケーティングスキルに定評があって、音楽の解釈や正確な技術で評価の高い選手。
トリノで銅を獲得した実力ある選手。
だけど怪我も多いし、ジャンプが不安定。
メンタルもあまり強くないから、優勝候補とは言われてなかった。
暫定1位の選手は、4回転を着氷して高得点を出してた。
かかるプレッシャーは桁違いだったと思う。
でも、何にも揺らされることなく、自分にできる最高の演技だけを見据えて戦った。
フィギュアスケートをたくさん見ているから、感動する滑りはいっぱいある。
片手じゃ全然足りないし、何度も見返してる。
それでも、あの映像は特別に思える。
優勝した彼…ジェフリーの、現役最後にして最高の演技。
今は振付師として大活躍しているけれど、彼はクレバーで素晴らしいスケーターだと思う。
そんな彼が全力を出して、自分に打ち勝った瞬間。
泣きたいときに、よく見返します。
感情って、意識しないとすぐに思い出せなくなっちゃう私だけど。
こうやって自分の特別を増やすことは、忘れないでいたいですね。
疲れたとき、辛いとき、逃げ出したいとき。
そんな時にふと力を抜ける何かとか、前を向ける何か。
大切にしていきたいと思ってます。